えだは

モー神通信のTKです。ほんばんは。

読了

『魔羅節』 (岩井志麻子
『ぼっけぇ、きょうてぇ』(※)で山本周五郎賞を受賞した岩井志麻子の新刊文庫。岩井志麻子は『ぼっけぇ』以来、岡山を舞台とした怪異小説を書き続けているが、いずれも読後感は怖いというよりひたすら暗い。岡山に行きたくなくなること間違いなしの逆村おこし小説家である。今回の短編集もその例に漏れないが、今まで「貧」「苦」「霊」「岡山」の4ワードで表現されていた世界観に今回は特に「淫」が加わった。最近流行の作劇上のタブーのためのタブーではなく、「もう勘弁してくれ」感漂う禁忌を描いている。


同作者は『岡山女』とか、どうもネーミングセンスに欠ける感があるが、何に開き直ったのか、この本では「乞食柱」、「金玉娘」、「おめこ電球」とすべての短編のタイトルに放送禁止用語が舞い踊っており、なんか一周回って面白い。


ちなみに本書に収録された短編「きちがい日和」の主人公は名前が「ヤヨ」っていうので、高橋ヲタは読むといいです。まぁ、ヤヨさん陰所いじられまくりですけど。





※『ぼっけぇ、きょうてぇ』
岡山弁で「すごく怖い」の意。もしくは「すごく競艇