えだは

モー神通信のTKです。ほんばんは。

例の「道重伝説」がピンと来ない

【道重さゆみ伝説】道重さゆみエピソードがかなり面白い
TL上でこちらが話題となっておりました。


作者ご自身が「例のヤンタンを機に書いた」と書かれている通り、久住さんと道重さんを対立軸にとらえて書かれているわけですが、読み物として面白いものの、正直に言うとピンと来ない内容なんですよね。その理由は

1:道重さんの不遇を強調するために、久住さんを過剰に持ち上げている
2:悲劇性を演出するためか道重さんを過剰に貶めている
3:事務所やファンなど他者の意向を断定的に書いているが、説得力に欠ける
4:これを書かずしてどうする!

順番に見て行きましょう。



■久住さんを過剰に持ち上げているように見える
確かに久住さんは「ミラクル」と称され一人加入で入ってきたメンバーですが、いきなりセンターを張ったごっちんほどのVIP待遇だったわけでもないし、高橋さんほど歌の面でしっかり推されたわけでもない。むしろグループ内の歌割では常に4〜5番手という印象なんですよね。『きらレボ』が大ヒットしている時にはその影響を本隊に還元させるべくもっと久住さんをフィーチャーするのかと思いきやそんなこともなく、『きらレボ』信者の私なんかはむしろそのことにヤキモキしてたぐらいですから。デビュー曲の『色っぽい、じれったい』でこそ冒頭部でセリフを担当していますが、それも亀井さんと2人でだし、在籍時の楽曲で格別に久住さんの印象が強い曲ってないのですが。
(『色っぽい じれったい』、『直感2』、『SEXY BOY』、『Ambitious! 野心的でいいじゃん』、『歩いてる』、『笑顔YESヌード』、『悲しみトワイライト』、『女に幸あれ』、『みかん』、『リゾナントブルー』、『ペッパー警部』、『泣いちゃうかも』、『しょうがない夢追い人』、『なんちゃって恋愛』、『気まぐれプリンセス』)


>合格告知にはつんくとメンバー全員がわざわざ新潟まで出向いたほど
とVIP待遇だと強調されている部分にしても、新潟まで出向いたのは所詮は『ハロモニ』の1企画でしかなく、加入に際して2時間特番があった5期・6期に比べて格別にVIP待遇だったという印象はないでしょう。




■道重さんを過剰に貶めているように見える。


>顔以外の取り柄がなく歌唱至上主義のハロプロでは後列端に置かれ人気もなくファンの間では常に解雇候補一番手と囁かれていたメンバーだった


>僅かにいた道重のファンも新人の久住にごっそり持って行かれた


>ファンの間では田舎の味噌ラジオが唯一の仕事かと嘲笑されていた



とファンの動向を随分と断定的に書かれてるけど、正直ファンの間でそんな言説聞いたことありません。それってどこのファンの話なの? 2chのアンチレスを真に受けてるんじゃないの? という気がしてしまいます。そもそも歌が下手という理由で解雇候補に挙がるのなら、はなから紺野さんや道重さんを採用はしないわけで。ファンからの人気にしても、現場の声援やTシャツの量から推定する限り格別に不人気だった印象はありません。むしろ常に一定以上の人気があるメンバーであったと記憶しています(って言うか、ヲタ的に久住さんが道重さんより人気があった時期ってないと思うけど…) 。



なので
>だから久住が教育係の道重を付き人のように扱いこき使ったのもある意味自然なことだった
というのもまったく自然ではないです。久住さんがただただ非常識な子供であったというだけの話で。そもそも人気があったからって先輩をコキ使うような行動を是とする事務所ではないでしょう。そういう所では妙に公正かつドメスティックな事務所ですから。




また道重さんが何の取り柄もなかったかのように書かれていますが、道重さんがバラエティ的な嗅覚を持ったクレバーな人であることは『ハロモニ』などを見ても普通に伝わって来ていたことですし、『Mの黙示録』のMCに現役メンバーから単独で抜擢されたことなどから、事務所もそれを理解をしていたと思われます。だからこそソロラジオの仕事や『ヤンタン』の代役が回って来たんだし、他メンに先駆けてblogを解禁されたりもした。なんか後のバラエティでの活躍につながる部分をすべて偶発的なものかあるいは「最後の賭け」みたいに書かれているけど、むしろ道重さんが地道に積み上げてきたものがそのまま評価されているだけだと思うんですよね。TV的に『ロンハー』が起爆剤になったのは間違いないですけど、でもそれだってファンにとって格段意外なことではなかったように思います。ファンの間では彼女のバラエティスキルはちゃんと評価されていましたよ。


ですから
>かつて味噌ラジオと嘲笑した他メンバーのファンを驚愕させ、
>初めてグループ内での存在感を示した

この「初めて」ってのもおかしな話で、そのファンって『ハロモニ』を見てない人だったの?って気がしますね。


というか「顔以外の取り柄がなく」は単純に失礼ですよね。ステージ上でも乙女組の頃からもう道重さんのパフォーマンスは相当に魅力的でしたよ。



■事務所など他者の意向を断定的に書いているが、説得力に欠ける
どうも作者さんはファンの立場では知りようもない他人の意図を断定的に書き過ぎているように思います。それが説得力があるならいいんですが…。


>久住の教育係というのも大人気ゲームソフトに糞ゲーを抱き合わせで売るように事務所がVIPの傍にくっつけてみただけの意味しかなかった

実際に事務所が抱き合わせ的に売ろうとした形跡なんかないですよね。抱き合わせ商法というのは外からの高評価が確定したものにするから有効なんであって、自分ら身内の期待値がどれだけ高かろうと、採用したてでまだ何の成果も出していない新人に抱き合わせてもそれは「抱き合わせ商法」として成立しません。


>歌唱力や舞台に拘る事務所は音痴の道重の売り出しに動くことは無かった
『Mの黙示録』やエコモニなどの活動もあり、同期と比べても「売り出されてない」なんてことはないと思うのですが。



>そこで事務所は他メンバーファンへのガス抜きのため、
>初めて他メンバーをバラでいくつかのテレビ番組に出演させた


とか。いや、そんな「ガス抜き」なんて理由で簡単にテレビに出られるならもっとバンバン出演させてるでしょ。


>Liveパフォーマンス至上主義で「ハロプロブランド」に拘っていた事務所上層部は、現役メンバーのバラエティ売りには頑なに否定的であり、教科書クイズ後の道重の地方局などでのテレビバラエティ修行も、実は事務所の若手スタッフたちが上層部を騙し騙し目立たぬように進めていたもので、いつ上からストップがかかるかもしれない状態
なにこれ。内部事情を事実のように書かれてるけどまったくソースないですけど…(汗)。そもそも上層部が否定的なんだったら、なんで道重さんが『ロンハー』で受けた後にストップがかからなかったのかって話になりませんか?
(これに関してはコメント欄でご指摘いただきまして、『2009年頃に両角Pが「一部スタッフが上層部の目に付かないようにうまいこと道重をバラエティに出そうとしている」的な発言をした』というのがソースだそうです。ちなみに私は両角Pのポジショントークは根本的に信用していませんが、「メディア従事者でありながら取引先の内部事情をメディアで無断で話す人」を信用する方は参考にされればいいと思います)


>メンバーの世代構成的にも実績的にも、次の次のリーダーと目されていた
>久住の突然の卒業は衝撃的であった

これも、これまでリーダーは期が上の者から機械的に任命されているのはファンの間でも周知の事実ですし、久住さんを「次の次のリーダー」と目していた人なんていないと思いますが。まだ新垣、道重、田中、亀井と上位者がいたわけで。



あとは道重さんのナルシスについても

>道重のナルシストキャラは、加入後間もない14歳頃から自分で考えて始めたものであり

とかもう、作りもののキャラとして断定してしまっている。でもあれは可愛いものが好きという素の部分の延長にあるものだと思うんですよね。もちろんテレビでは誇張して使用しているにしても。




以上のような理由で例の「道重伝説」にはピンと来ていないんですね。やっぱりグループ内でそこまで推されていたわけでもない久住さんを対立軸に持ってきても道重さんの物語としては芯がシャッキリ通った印象にはなりません。また久住さんがいた時代〜プラチナ後期というのはモーニング娘。が世間に対する露出機会を失っていた時代でもあって、道重さんのそのことに対する忸怩たる想いが彼女のバラエティ出演におけるモチベーションの一つであったことは本人の口から何度も語られているのに、そのことも切り口として盛り込まれていないのもどうかと。


この作者さん個人の考えとしては別にいいんだけど、ファンの心情や事務所の意向を断定的に書かれている部分が、ファンじゃない人の間で流通していくのはモヤモヤした気分が残りますね。ヲタが自分史観のメンバー物語を開陳するのは珍しいことじゃないのですが、それには自分だけの思い込みを事実として書くのではなく、事実として確定した傍証を丁寧に積み上げることで自分の考えに読み手を自然に引き寄せる隠微なスキルが必要かと思います。そしてその根底にはメンバーへの愛と敬意がなければならない。宮本さんの新垣里沙伝説みたいにね。



■最後にこれを書かずしてどうする!
>閉塞状況のモー娘。に留まることを選び、リーダーとなった道重
と、まるで泥船に残ったみたいな書かれ方をしていますが、道重さんがリーダーに就任した新生モーニング娘。は「今、モー娘。が再び熱い」と各所で話題になっており、目に見えて新規の若いファンも増えています。YouTubeにアップされたMVの再生回数の伸びも顕著で、そこに寄せられたコメントも熱量溢れるものばかり。その勢いを反映して52枚目のシングル『Help Me!!』ではついに約3年半ぶりのオリコン1位を獲得しました! 道重伝説を語るならばこれを書かずしてどうする!



■PS
【モーニング娘】道重さゆみの凄すぎる伝説まとめ

同じ道重伝説なら私はこっちの方が好きだな。